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社会のルールを知ったトキ

ミスチルとかわいい女子アナを中心に、好きなものや気になったことを記事にしてます

藤子F不二雄の短編SF『ウルトラスーパーデラックスマン』を紹介する【感想・ネタバレ】

マンガ・アニメ

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どうも!

さて、藤子不二雄という希代の漫画家を語るなら外せないのが
 
短編SF!!
 
ドラえもんやパーマン等で有名ですが、真骨頂はこの短編SFにあると思っています。
子供向けのコメディ漫画を多く執筆かたわら、大人向けのSF作品も世に送り出していました。
 


日本テレビ系で放送中のドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」も藤子作品が原作。

となれば、「ウルトラスーパーデラックスマン」を紹介しないわけにはいけません!!

 

一般市民がある日、スーパーマンの力を手に入れる…

一見すると似たようなテーマですが、そのストーリーは思いのほかブラックな内容になっていますよ。

 

『ウルトラスーパーデラックスマン』

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サラリーマン句楽兼人(くらく・けんと)は、新聞に何の大事件も載っていない事をボヤいていた。

待機室長というポストを与えられはしたものの、特にする仕事はない。

暇なので帰ろうとした所、同期で親友だった片山と出会う。

 

片山を「飲みに来いよ」と自宅に招くわけだが、片山からすればそれは死を意味していた。

妻からは泣いて責められるも、断るということも死を意味している。

片山は覚悟を決め、句楽の家へ向かうことに。

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句楽邸は周囲が荒れ果てている廃墟に存在していた。

車で向かう最中、飛び出してきた女性を避け、車が電柱に激突し大破してしまう。

約束の時間に遅れまいと焦る片山の元に、ひとりの男がやってきた…

 

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空を飛んで現れたのは、自らをウルトラスーパーデラックスマンと名乗る男。

サラリーマン句楽兼人の正体は、弱者や困っている者を助ける正義の味方ウルトラ・スーパー・デラックスマンだったのだ。

 

そのまま片山を自宅まで送り届けた句楽は、寿司を食べながら昔話を始める

句楽がウルトラスーパーデラックスマンとなった経緯だ。 

 

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句楽は元々正義感が強く、世の中の不正や悪に憤りを覚えていた。

社会に対して苛立っていたものの、無力で小心な彼は、悪を見て見ぬふりをするしかなかった。

そんな彼がある日突然、怪力、透視、飛行能力、核爆弾でも死なない不死身の肉体といったスーパーマンの力を身につけたのだ。


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正義のために「ウルトラ・スーパーデラックスマン」として活躍をはじめる句楽。

ただ、次第に自分の感情に任せて軽犯罪者に対しても正義を盾に、過剰な制裁を与えるようになっていく。

 

そんな彼に対して片山も含めた周囲の人々は、いつの間にか句楽に対して腫れ物に触るように接するようになっていた。

ひとたび事あれば句楽が何をしでかすかわからないからだ。

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句楽は、その超人的なパワーを背景に周囲に対して理不尽な要求を繰り返し欲望のままに生きる暴君へと変貌していた。

その日も片山を自宅に招いておきながら、テレビに出演していたアイドルを無理やり呼びつけて、寝室で事に及ぼうとするほどだった。

 

そんな彼の元にひとりの女性がやってきた。

片山が句楽邸に向かう途中に遭遇した女性である。

窃盗をした恋人を句楽に抹殺されたことを恨んでおり、報復にやって来たのだ。

 

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彼女に対して句楽は当然、制裁を加えようとする。

片山は彼女と共に逃げ出した。

 

猛烈な追跡を受ける片山だったが、句楽の歪んだ正義に苦言を呈する。

だが句楽は、親友だった片山に対しても「女を庇うなら同罪だ」と抹殺を宣言。

しかし… 

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句楽は急に吐血。

病院に搬送された句楽だったが、彼は「ウルトラ・スーパーデラックスがん細胞」という未知のがん細胞に体が蝕まれており、医師の努力もむなしく死を迎えた。

 

スーパーマンである彼に宿ったがん細胞も超強力であり、治療の施しようがなかったという皮肉な結末であった。

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考察~左江内氏との共通点~

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ある日、突然超人的な力を手に入れたとしたら…

誰もが一度は空想したことがあるだろう。

『ウルトラスーパーデラックスマン』はそんな空想を具現化した作品である。

 

しかし、そのストーリーは『スーパーサラリーマン左江内氏』とは全く違うものとなる。

左江内氏では、忘却光線といったビームの力により、スーパーマンを目撃した周囲の記憶を消すことが可能であり、自らの正体がバレることはない。

しかし、『ウルトラスーパーデラックスマン』では、スーパーマンであるが故に起きる悲劇が描かれている。

 

その強大過ぎる力によって、犯罪者とはいえ殺害してしまった句楽。

作中では描かれてはおらずあくまでも想像だが、初めての殺人を犯したとき、句楽はきっと苦悩したのではないだろうか。

 

元々は平凡で正義感の強い男である。

そんな彼が苦悩しないわけはないだろう。

しかし句楽は、正義のために犠牲は止むを得ないと考えたわけだ。

 

警察は彼を殺人容疑で逮捕しようとしたが、句楽はその力で逆に皆殺しにしてしまう。

この行動を機に、世間の句楽に対する評価は決定的になる。 

 

 

人間は自らを肯定したいと考える生き物である。

マスコミや社会は句楽を糾弾し攻撃が、「自分の力は正義のために授かった物だから自分に逆らう者は全て悪だ」という思考を元に、句楽は警察や自衛隊やマスコミにも次々と攻撃を加えるようになるのだ。

 

彼は自らの正義が正しいと信じて疑わない。

しかも、その正義を止めることのできる人間も存在しないのである。

自らが同じ立場に立ったとして、句楽のように暴走しないと断言できるだろうか。

 

 

スーパーサラリーマン左江内氏でも、スーパーマンの力を利用してタダで温泉に入っている描写があった。

正義の味方をしているんだから、これくらいは許されるだろうと…。

 

もちろんタダで温泉に入るなんて、本来は違法行為である。

しかし、欲望のために自らの正義を正当化している彼の行動は、ことの大きさは違えど、句楽にも通じるものがある。

 

犯罪への抑止力という見方

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とうとう句楽の抹殺を諦めた社会は、句楽を刺激する事のないように「待機室長」という架空の仕事を与えた。

そして政府は「ウルトラ・スーパー・デラックスマンなどという荒唐無稽な人物は存在しない」と発表。

マスコミも事件の報道を自粛し、句楽の殺人行動を促さないようにした。

 

作中では触れられなかったが、結果的に世の中からは重大事件は減少したのではないか。

犯罪を犯せば、『ウルトラスーパーデラックスマン』がやってきて制裁を受けてしまう。これは強力な抑止力となったはずだ。

句楽の歪んだ正義感しかり、デスノートのキラに近いものがある。

しかし、夜神月には無くて、句楽兼人にあったものが一つあった。

それは迷いと恐怖である。

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自らが不死身の超人であることへの恐怖。

月とは違い、こういった人間臭さが作品を昇華させている。

きっと句楽も、本当はこんなはずじゃなかった…と、どこかで後悔していたのではないか。

もっと周囲に愛されるヒーローを夢見ていたはずだ。

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同じ藤子作品であるドラえもんの1シーン。

句楽も、自分を止めてくれる人がいないが故に、苦しんでいたのだと思うのだ。

おわり。 

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